社会貢献コラム
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2022/1/11 素晴らしき出会いをいただいて(東京支部 奥田 幸平 氏)

素晴らしき出会いをいただいて

 

東京支部 奥田 幸平

※事務局・注 写真をクリックすると拡大表示されます。

 

 私が今取り組んでいるのは「障害や難病を持つ方の就労支援」というテーマです。きっかけは四五年前に子供がてんかんの発作を起こし、相談にのってもらった患者会の役員を引き受けた事からです。

てんかんは様々な年齢層で発症し、患者の抱える問題も様々です。幼い頃は幼稚園や小学校での生活の問題、例えばてんかんという病名で一律に水泳禁止、教室で発作を起こすと、「近くによるとうつるから近づかないで」など、てんかんに対する誤解や偏見にさらされ、いじめにつながるようなこともありました。青年期になって発症する方は、結婚や就職で差別されることがありました。

これらの誤解や偏見・差別に対し、てんかんを正しく知っていただく社会啓発活動が欠かせませんでした。教育委員会の協力を得て、教職員の学習会を開催したり、県の水泳連盟や防衛医大の水泳部の学生さんの協力を得て水泳教室を開き、てんかんがあっても水泳が出来ることを訴えたりしました。

子供の成長と共に活動もてんかん医療に重きを置くようになりました。本部の副会長をされていた埼玉医科大学精神科の山内俊雄教授に本部理事に推薦され、全国組織の課題に向き合うことになりました。当時、日本の抗てんかん薬は欧米の承認から一〇年から二〇年遅れになっており、一日も早い承認を願って、てんかん学会の先生方と一緒に活動を始めました。製薬会社や厚生省への働きかけ、患者会の中に治験ボランティア組織を立ち上げる事などを行いました。この活動を通し治験推進協議会での「患者は薬を待っている」との全国での講演や他の患者団体の方と連携する機会、医療や福祉に携わる多くの方との出会いがありました。

八年間の本部での活動中は、会社の同僚、諸先輩の支援を頂きました。

その後、青年・成人の患者の方々の課題に向きあう機会を得ました。電話相談の係を担当し、進学、就職、結婚、生活様々な悩みを聞くことができました。一度社会に出て挫折し、引きこもっている仲間が月に一度、食事と懇談する会を行いました。仲間同士のふれ合い、特に仲間の発作介助の機会を通し、自分も発作の時にこのような介助を受けているのだという経験がその方にとって大きな転換点となるようです。新しい道に向かって行く気力がわいてきたのだと思います。

定年後は就労支援の小さな会社を設立し、仲間達と軽作業等を通してふれ合い、それぞれの持ち味を引き出す支援を目指しています。会社の支援として、アステラスのスターライトパートナーの委員や、先輩方から仕事の紹介をいただくなど助けていただきました。会社では、一〇年近い引きこもりから公認会計士の資格を得て会計事務所に勤務する人、花屋の職人としてスタートする人、就労継続支援事業所に通う仲間など、新しい職場で様々な人に支えられ、新たな歩みを始めています。私の会社の役目は背中を押して送り出す事と思っています。

   

患者さんが描いてくれた私の似顔絵    教員を対象としたてんかん学習会  

 難病団体のハイキングに参加 

 

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