社会貢献コラム
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2020/1/6 食育活動の一環としての米づくりについて(仙台支部 黒河内 軍治 氏)

食育活動の一環としての米づくりについて

 

                                     仙台支部 黒河内 軍治

 

半年ほど前、支部長より社会貢献コラムの原稿を書いて欲しい旨の要請があった。

私のやっていることは、そんな大業なものではないのでお断りしていたが、その後、再三の依頼があった。私自身も支部長時代に周囲から助けられており「それ程困っておるならば・・」ということで、このコラムを引き受けた次第である。

 

12年前、第2の職場、オリックスを退職して完全フリーになった時より近所に土地を借り80坪ほどの家庭菜園を「EM農法(EM菌を活用することにより農薬、化学肥料に頼らず作物が丈夫に育つ環境をつくる農法)」で始めた。きっかけはJA関連を退職した友人の澤田氏がEM普及員であり彼の田んぼ、畑をEM農法で耕作しておりそれの手助けをしていたこと。この農法は農薬、化学肥料を全く使わないので、その田んぼではメダカ、ドジョウ、おたまじゃくし、ゲンゴロウ等々、日本の数十年前の田んぼが再現される。

 

そんな田んぼで遊びながらの農作業をしている時、隣接する市立増田西小学校の校長先生と学年主任の先生から5年生の「米作り、自然環境保全、食物作りと労働・・」といった観点からの指導をしてもらえないかーとの依頼を受ける。文科省、教育委員会からは授業の中で食育項目の体験を入れるように・・

との指導が入るばかりで具体的援助が無いので困っているとの事。農業を生業としている農家に依頼してみたが即座に断られた由。我々の田んぼは収穫が目的ではないので稲作と共に鯉を飼ったりアヒルを泳がせたり(文字通り遊び)であるので先生方の要請を受けることにしたのが12年前である。

 

毎年5年生120から130名を12年間、総数では1500名の生徒に田植えと稲刈りを中心に米作りを体験してもらった。最初に指導した子供達は既に成人し社会人として活躍している年齢である。

毎年5月の中旬以降の天候を見ながら苗床を完成させ堆肥を漉き込んだ田んぼを完成させる。

全員ミーテイングで苗を4~5本ずつに捌く方法、苗の持ち方、植え方等々を教えて30人ずつのチームに分けて2組ずつ田んぼに入れる。素足で初めて入る田んぼであり泥のヌルヌルの感触で大騒ぎ。

尻もちをつく子、ドジョウやイモリを捕まえる子、足が抜けない子、待機組の60名はそれを見て「はやしたてる」。さながら運動会の応援合戦のように騒々しい。

それらも15分程すると収まり一応、田植えの格好となってくる。

担任の先生方も農作業経験皆無という人ばかりなので経験のある友人助っ人を2人ほど確保して対応。大勢の足跡で流れる苗、活着しない苗等の植え直しをすませ夏場の除草をしながら実りの秋を迎える。

10月中旬、稲刈り。田んぼも乾いており収穫は子供たちも嬉しいのか春以上にご機嫌。鎌を使っての手刈りのため、指を切らぬよう細心の注意を払う。太陽光自然乾燥をするためにハザ架けを事前に準備。

毎年思うことは田植えの5月から刈り入れの10月まで5ヶ月間での子供の成長の早さである。明らかに聞く態度、作業の姿勢に変化が見られる。今の子供達は紐を結ぶという日常経験が全くというほど少ない。結ぶ行為の代償がガムテープに代表される貼るという作業なのか。ハザ架けの稲束を麻紐できつく縛り結ばせることを二人一組で教えるがなかなか出来ない。

乾燥、脱穀、籾摺り、精米を済ませて生徒が家庭への土産として一人2合位をメドに届ける。

何日か後に「感謝の会」の招待状が必ず届きます。米作り体験の全員の感想文を頂き秋の学習発表会の成果を披ろうして戴く。感想文には「家でもお米を食べる回数が増えました」の文章に励まされながらこれからも体力が続くかぎりこの支援をしたいと思います。次代を担う若人の為に。

 

以上

 

  

 

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